代表より

小学生を取り巻く社会環境は、大きく変化しています。不登校、いじめ、体罰、自殺、不審者など心の痛いニュースが頻繁に飛び込む昨今です。放課後であっても、近隣の公園に小学生の姿はなく…では子供たちはどこにいるのでしょう。

幼稚園・保育園時代の子供たちは、朝ご両親に送られそれぞれの園に行き、仕事の終わった時間まで保育園で過ごすという日常でした。それが、4月1日を堺に一変します。
まず、春休み。一日なかなか出かけるところがありません。そして学校が始まってからは、集団登校で子供達だけで学校に出かけ当初は給食がありません。昔は、1ヶ月もそんな日が続きましたが今は、1週間程度の慣らし期間です。そして、給食が始まっても下校時間は13時半。高学年になって、委員会やクラブ活動が始まっても下校時間は16時半です。幼稚園の預かり保育のお迎えが18時半、保育園の延長保育20時のようには到底立ちゆきません。さらに、40日に及ぶ夏休み、土曜日行事のあとの振替休校日、集団下校訓練、警報発令時の対応等子供達に社会性が芽生えたとはいうもののその日常生活の変化の大きさは大変なものです。そして、仕事を持たれているご両親には大きな負担がかかります。これが「小学一年生の壁」といわれるものです。

そして角度を変えて、大人は、子どもの保育園時代を100とすると小学校時代は50、つまり半分の時間間隔でとらえます。これはどういうことかというと、保育園は、保護者の送り迎えという子供たちへの確実な関わりがあります。もちろん子供たちは、まだ生活面の自立が不十分な分だけ援助が必要です。小学生は、成長し自分でできることが目覚ましく増えます。学校にも一人で歩いて行きます。小学校と保護者との接点は、月1回程度に激減します。そこで保護者は、半分になった時間間隔をもちます。それはそれで仕事にも打ち込め、家族で楽しく過ごす時間も増えていいのですが、ひとつ盲点があります。“子どもの心”です。子どもにとっては、やはり1日は長い時間なのです。また、今まで以上に激しい社会生活に急に飛び込んでしまったのです。この時、どこかに何らかのよりどころを多く持っているお子さんは、それも難なくこなせるでしょう。というより、大人の目からは難なくこなしたように見えるでしょう。けれども、多かれ少なかれ所在無い不安感を経験しているはずです。これとても「小学校一年生の壁」といえると思います。

当学童クラブは、子ども達の心の起点となるスペースを確保し、人間同士のかかわりを確実に育みながら放課後、学校休業日の学童クラブを運営したいと思っています。これからは、小学校6年生までを学童クラブの関わりと考えています。また、NPO法人の運営による地域、社会への貢献を含め活動していきたいと思っています。昨年10月には、横浜市の認定もいただきました。保護者の皆様の負担も最小限に抑え、これからの未来を担う子供たちにとって居心地のよい、いつでも自分を受け止めてもらえる心のよりどころ(もうひとつの家庭)としての学童クラブを運営していきたいと思っています。

(NPO法人ピッコリーノ学童クラブ 理事 新美敦子)